食中毒の主な原因はサルモネラ菌や黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌やノロウイルスなどの細菌やウイルスです。これらが付着した食品を食べると腹痛や下痢、吐き気など様々な症状が現れます。特に腸管出血性大腸菌は、食後12時間から60時間ほどで激しい腹痛や血の混じった下痢などの症状を引き起こします。腸管出血性大腸菌にはO111やO157などがあり、食中毒の症状が重い場合には命に関わることもあります。
これらの細菌やウイルスは熱に弱い性質があるので、被害を防ぐには加熱処理をしっかりと行うことが大切です。細菌の中には黄色ブドウ球菌のように熱に強い毒素を生み出すタイプも存在します。黄色ブドウ球菌自体は加熱処理を行えば問題ありませんが、毒素は熱で処理できないので注意しなければなりません。毒素が生成される前に菌を加熱処理し、その後も混入しないよう衛生管理を行う必要があります。
食品の品質を劣化させる危害要因には、細菌やウイルスの他にも化学物質や異物など様々なものが存在します。企業が食品の安全を守るために役立っている総合的な衛生管理手法がHACCPです。HACCPでは全ての工程を細分化し細菌やウイルス、毒素や化学物質など個々の危害要因による被害を予測した上で適切な管理方法を定めます。さらにHACCPでは加熱や冷却など健康被害の減少につながる工程が重要管理点とされ、厳格な基準に基づいて連続的かつ継続的な監視と記録が行われます。
HACCPはハサップやハセップと呼ばれており、もともとはアメリカで宇宙食の安全性を高めるために開発されました。しかし効果的な衛生管理を行うことができるため、現在では日本だけなく世界中の企業が採用しています。HACCPに基づいて適切な衛生管理を行えば、様々な危害要因から食品の安全を守ることができます。
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