HACCPには様々なメリットがあります

ある問題を解決しようと考えたときに、様々な手法の中でどれを選ぶかが重要になります。経営者が選択した手法によっては、その後の事業運営に大きな影響を及ぼすので注意が必要です。例えば食品を製造している企業が出荷前に一部のサンプルを抜き出して検査を行ったとします。この企業の経営者は効率性を重視しており、サンプル調査でも十分な安全性が保たれると考えています。

確かに出荷される製品の種類や量が少なければサンプル調査でも問題ないかもしれません。しかし多品種を大量生産して市場に出荷する場合、サンプル調査では不備が生じる可能性があります。効率性を重視するのか、それとも確実性を重視するのかで選択肢に違いが出てきます。日本では国や食品業界が効率的で確実性の高い衛生管理手法を求めていたため、全ての企業にHACCPの導入と運用が義務付けられました。

この手法を実行するにはサンプル調査よりも手間がかかるものの、効率的にかなり高い精度で不良品の出荷を防ぐことが可能です。HACCPは製品が出荷されるまでの全工程を対象としたリスク管理を行う点に特徴があります。食品に混入して健康被害をもたらす危害要因は微生物や化学物質、異物など様々です。この手法ではそれら全てのよる健康被害を分析して個々に最適な管理方法を定めます。

総合的なリスク管理を行うため特定のスタッフだけでは対応できません。HACCPは事業所全体でチームを結成して全てのスタッフが衛生管理に関与します。この手法を導入するとスタッフの意識や製品の品質が向上するだけでなく、クレームなどのトラブルが減って企業の評価が高まります。企業の評価が高まれば新たな販売経路や新規の顧客を獲得しやすくなり、売上の増加につながるというメリットも得られます。